スプレッドシートの操作で、しばしば直面する課題の一つが、複数の列をキーとして特定の値を取得したいというケースです。例えば、時間帯(朝、昼、夜)とジャンル(ニュース、スポーツ、エンタメ)を基にして、特定のデータを検索したい場合です。このようなニーズに応える方法はいくつかありますが、本記事ではVLOOKUP関数、MATCH関数、およびQUERY関数を使った方法を解説します。
背景
考えているテーブルの構成を具体的に見てみましょう。このようなテーブルがあるとします
時間帯 | ジャンル | 番組 |
---|---|---|
朝 | スポーツ | プロ野球中継 |
朝 | ニュース | ニュース123 |
朝 | ニュース | ニュースアメリカ |
昼 | ニュース | ランチニュース |
夜 | ニュース | 1日のニュース |
A列には時間帯(朝、昼、夜)、B列にはジャンル(ニュース、スポーツ、エンタメ)、C列には取得したい値が格納されているとします。ここでの目標は、時間帯とジャンルの両方が特定の条件に合致する行から、関連する値を取得することです。
VLOOKUPを使用した方法
VLOOKUP関数は非常に便利ですが、複数の列をキーにする場合は少し工夫が必要になります。具体的な式は以下の通りです。
=ARRAYFORMULA(VLOOKUP("朝ニュース", {A1:A&B1:B, C1:C}, 2, FALSE))
この式では、A列とB列の値を結合した文字列が"朝ニュース"にマッチする行の、C列の値を取得します。これにより、簡単に複数条件に基づく検索が可能になります。
MATCH関数を使用した方法
MATCH関数もまた、特定の値を検索するのに使用できます。ただし、この関数は検索した値の位置を返すため、通常はINDEX関数と組み合わせて使用されます。MATCH関数の基本的な使い方は以下のようになります。
=INDEX(C1:C, MATCH(1, (A1:A="朝")*(B1:B="ニュース"), 0))
この式では、A列で"朝"、B列で"ニュース"と一致する行を検索し、その行のC列の値を取得します。
QUERY関数を使用した方法
QUERY関数は、SQL風のクエリを使用してデータを検索・操作する強力なツールです。この関数を使った検索は以下のように行います。
=QUERY(A1:C, "SELECT C WHERE A = '朝' AND B = 'ニュース' limit 1", 0)
この式では、A列が"朝"、B列が"ニュース"に一致する行のC列の値を選択しています。また、limit 1の記述をなくすと「ニュース123」と「ニュースアメリカ」の2つの値が取得できます。
VLOOKUP関数の詳細
VLOOKUP関数は、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトで使われる関数の一つです。 簡単に説明すると、VLOOKUP関数は、ある範囲内で特定の値を検索し、見つかった値に対応する別の範囲の値を取得する役割を持っています。
VLOOKUP関数は、以下のような構文を持っています。
=VLOOKUP(検索する値, 検索する範囲, 取得する列の番号, オプション)
引数の説明は以下の通りです。
- 検索する値:検索する値のセルまたは値そのもの
- 検索する範囲:検索する範囲のセル範囲(表)またはデータベースを指定します。最初の列には検索対象の列が入り、それに対応する値が入ります。キー列に重複があってはなりません。
- 取得する列の番号:検索結果から取得する列の番号を指定します。1から始まる数字で、検索対象の列(検索する範囲の最初の列)から数えて何列目の値を取得するか指定されます。もしくはA,B,C、などのアルファベット表記で指定可能。検索対象の値と取得する値が同じ場合は省略可能。
- オプション:範囲の検索方法を指定するオプションで、省略可能です。0または省略で完全一致、1で近似一致を指定します。
VLOOKUP関数の使い方は簡単で、例えば、以下のような表があった場合、A列の国名から、その国の通貨コードを表示することができます。(列の見出しとしては「国名」「通貨コード」という見出しを使用しています。)
国名 | 通貨コード |
---|---|
日本 | JPY |
アメリカ | USD |
イギリス | GBP |
フランス | EUR |
中国 | CNY |
例えば、日本の通貨コードを取得するには、以下のようにVLOOKUP関数を書くことができます。
=VLOOKUP("日本", A2:B6, 2, FALSE)
この式では、"日本"という値をA2:B6の範囲内から検索し、見つかった行の2列目(通貨コード)の値を取得することで、「JPY」という値が表示されます。
この知識が役立つ具体的なシーン
この知識は、日常生活や仕事のあらゆる場面で役立ちます。例えば、以下のようなシーンが考えられます。
- 顧客管理システムで、顧客の名前と住所、注文の内容などから詳細情報を取得したい場合
- 在庫管理システムで、製品の種類や倉庫名、在庫残数などから詳細情報を取得したい場合
- 銀行で複数の口座情報を持っている場合、それらの情報を一覧で見たい場合
- 将棋の組み合わせなど、複数の条件から検索する場面
このように、多くの場面でVLOOKUP関数を使って複数条件での検索を行うことができます。
補足的な情報
VLOOKUP関数は、多くの人が使用する表計算ソフトに搭載されているため、幅広い人々に利用されている関数です。しかし、VLOOKUP関数は、単一条件での検索しかできないと思われがちですが、複数条件での検索にも対応していることがわかりました。
VLOOKUP関数を用いて複数条件で検索する方法には、「VLOOKUP + INDEX + MATCH」関数を使う方法もあります。この方法は、複雑な条件で検索する場合に有効であり、計算式が長くなることが欠点です。
また、データベースを操作する場合は、VLOOKUP関数ではなく、Query関数を使うことが推奨されます。Query関数は、複数の条件での検索に対応しており、より高度なデータベース操作を可能にします。
まとめ
VLOOKUP関数は、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトで使用される関数の一つであり、ある範囲内で特定の値を検索し、見つかった値に対応する別の範囲の値を取得する役割を持っています。また、複数条件での検索にも対応しており、配列を使うことで複数条件での検索を実現することができます。
VLOOKUP、MATCH(INDEXと組み合わせて)、そしてQUERY関数は、ExcelやGoogleスプレッドシートで複数条件に基づいて値を検索する際に非常に役立ちます。これらの関数を駆使することで、複雑なデータ検索のニーズに対応することが可能です。各関数の特性を理解し、状況に応じて最適な方法を選択しましょう。
最後に式をもう一度載せておきます
VLOOKUP
=ARRAYFORMULA(VLOOKUP("朝ニュース", {A1:A&B1:B, C1:C}, 2, FALSE))
MATCH
=INDEX(C1:C, MATCH(1, (A1:A="朝")*(B1:B="ニュース"), 0))
QUERY
=QUERY(A1:C, "SELECT C WHERE A = '朝' AND B = 'ニュース' limit 1", 0)